むかしむかし セルフライナーノーツ

 2020年3月、バンドを始める予定だったのが色々あって1年間できなくなってしまい、そこからの一年間僕はひたすらに曲を作り続けました(全部で25曲くらい)。4月とかは毎日作って毎日宅録して軽くミックスしてちゃんと音源にまでするというストイックさ。そんな期間でできたのがこの「むかしむかし」という曲です。

 

 その当時どんなことを思ってこの歌詞を書いたかは正直あまり覚えていないです。やりたいことが全部潰れて、新しい出会いなんかもなく、今思い出してもここ数年で最悪の期間だったなと思っています。“昔を想った君の負けだな”といった歌詞を見ると、何もできなかった自分が過去の幸せだったころを思い出して、それを後悔している描写のような気がする。今はそんなこと思ってないです。楽しかったことも苦しかったこともいくらでも思い出すべきだし、そこから元気をもらったり反省したりできるのが人間だと思うので。

 

 いずれ苦しい時期はまた来る。この曲を聞いてくださってくれている人にも来るだろうし、今がその時期かもしれない。そんなときは何も考えずスマホにある過去の楽しかった写真なんかを眺めて、思い出に浸ってください。決して悪いことでも後悔するようなことじゃない。今楽しいと思えていることが将来の自分を救います。これ、本当。

 

 曲は意図的にシンプルにしています。余計なメロ、構成、音は入れずにとにかく歌の良さを前面に出している。その裏で本構成にまとわりつくようなベースラインは芸術だと思ってます。

 

(2021年10月作成、そこから一部修正)